東京高等裁判所 昭和27年(う)1879号 判決
一件記録によれば増井三之助の酒類譲受に関し被告人が崔徳述に依頼したのは一回だけであると認められること所論のとおりである。
しかしながら、たとえ幇助行為が一個で正犯の行為が事実上数回にわたつてなされたとしても、その正犯の行為が全体として右の幇助に基くものと認められ、且つ幇助者がその全部を未必的にもせよ予見していたと認められる限りにおいては、幇助者はその全部について従犯としての責任を負わなければならないのである。しかるに本件においては、記録によると被告人は特に数量を限つて譲受の斡旋をしたわけではなく、従つて増井三之助が原判示のような数量を譲り受けたのは結局被告人がした斡旋行為に基くものと認むべきであるし、またこの程度の数量を譲受けることは当然被告人の予見した範囲に属するというべきであるから、原判決がその全部につき被告人に幇助の責任ありとしたのは必ずしも違法であるということはできない。
それゆえこの点の論旨も理由がない。